

近年リニューアルされた高知桂浜の「坂本龍馬記念館」へ行った。幕末の志士:坂本龍馬(1835年~1867年)の生き様に学ぶ。
剣術、脱藩、武士道、世界航海への憧れ、亀山社中、郷土愛、自由、悪政との戦い、薩長同盟、海援隊、船中八策、大政奉還…、志しなかばで新しい時代を見ることなく、刺客の凶刀に倒れた(33歳)。

龍馬が親族や友人に宛てた直筆の手紙も展示されている。姉:乙女への手紙の中に「…悪い役人を一度に戦って打ち殺し、この日本をもう一度洗濯しようという神への祈願です…(現代語訳)」という有名な節がある。
時に刀で切られた傷を温泉で癒したり、お龍さんと高千穂の峰に旅した時には山の図を描いたりしている。
展示物を見て回っていると幕末当時の出来事やらが感じられ、龍馬の夢や想いが伝わってくる。記念館発行の「龍馬書簡」を買った。龍馬の手紙(54通)の現代語訳・解説がまとめられてある。

桂浜を出て五台山(標高146m)へ行った。山の竹林寺(四国霊場第31番札所)では、開創1300年ともしび展が開催されていて、秘仏本尊の御開帳が行われていた。50年に一度とのことで拝観することにした。
お坊さんの説明と誘導に従い、本堂の奥へと進んでゆく。途中、瞑想している行基菩薩の像があり、誰かと似ているなと

思わずその人を思い出していた。
行基(668~749年)作と伝えられる秘仏:文殊菩薩は、優しく微笑み、美しい姿で、知恵の光を放っているようだった。
四国霊場88ヶ所中、行基が開基とされる寺が29ヶ寺あり、後に空海(774~835年)が修行され霊場と定めている。調べてみると空海自らが開基とされる霊場は41寺、あと18寺の開基は役行者ほか。
秘仏拝観料が1500円、少し高いなと思っていたが、お坊さんの説明が勉強になり、宝物館や本坊も見て回れ、おまけ?に隣にある牧野植物園の入場割引もついていたのでなるほどと納得した。

植物園は竹林寺のそば、南口から入り、熱帯雨林の温室から見て回る。牧野植物園は、いま、NHKの朝ドラ「らんまん」の放映もあり、にぎわっているようだった。高知の植物学者:牧野富太郎(1862~1957年/享年94歳)。ドラマでは幼年期に、里山の神社で坂本龍馬(天狗)と出会うシーンがあり、牧野少年は未来への夢を大きく膨らませるのであった (両者の生涯が5年程かぶっている) 。

遊歩道を歩いていくと、春ともあってたくさんの珍しい花々が咲いている。記念館には牧野博士に関する資料が展示されていて、植物についての学習をすることができる。ショップや喫茶もあり、一日でもゆったりと過ごすことができる。記念館の中で、いつも立ち止まって見てしまうのが、草原の草花の中で坐っている牧野博士の姿―、その横に書かれてある博士の言葉である。
人の一生で、自然に親しむということほど
有益なことは在りません。
人間はもともと自然の一員なのですから、
自然にとけこんでこそ、
はじめて生きているよろこびを
感ずることができるのだと思います。
自然に親しむためには、まずおのれを捨てて
自然のなかに飛び込んでいくことです。
そしてわたしたちの目に映じ、耳に聞こえ、
はだに感ずるものをすなおに観察し、
そこから多くのものを学びとることです。

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