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執筆者の写真TOMO

四国霊場・ポータラカ(1)空海の旅


四国遍路の始祖・空海は、19歳の時に平安京(京都)で学んでいた学問を捨てて、山岳修行の旅に出た。奈良から吉野山へ、金峯山大峰山:修験道発祥の地)で修行した後、当時人跡未踏であった高野山を発見して「平原の幽地(奥深い静寂の地)有り」と記している。

それから四国に渡って、山野を祈り歩きながら「虚空蔵求聞持の法(こくぞうぐもんじのほう)」を修行されていた。徳島の大滝嶽(たいりゅうがだけ)では虚空蔵菩薩の大剣が飛んできて菩薩の霊験があり、高知の室戸岬では、明星が口の中に飛び込んできて、ホトケの光明を得たと伝えている。「阿国大滝嶽にのぼりよじ、土州室戸崎に勤念す。谷響きを惜しまず、明星来影す。(空海著・三教指帰)」


◌第24番霊場・最御崎寺(室戸岬)/空の彼方へ

現在の遍路道をたどると、第21番太龍寺から室戸岬まで約120㎞の道のりがある。

徳島県(発心)最後の霊場、厄除けで有名な第23番薬王寺から、高知県(修行)の霊場に入り、第24番最御崎寺(ほつみさきじ/室戸岬)までは約80㎞、歩いて2日間の旅である。途中、別格霊場の「鯖大師」には不動尊の大洞窟ができている。遍路は、延々と続く太平洋の海岸線を歩いてゆく。左側には空と海があるだけ―。

岬に近づくと、白色の大きな空海の青年像が見えてくる。室戸岬は、霊峰剣山の南側の尾根が長く延びて太平洋に突き出た岬―その先端に最御崎寺が建てられている。密林に包まれた南国ムード漂う境内、本尊は空海が感得された「虚空蔵菩薩」。本堂の横には「へんろセンター」があり、宿泊することが出来る。夕方は周辺を散策し、夜は星を観て、朝晴れていれば太平洋から昇る太陽が見える。

岬の断崖には、1,200年前、空海が修行していたという洞窟が二つある。向かって右側が修行していたという「神明窟」、左側が住居としていた「御厨人窟 (みくろど)」と呼ばれている。この洞窟で空海は、虚空蔵菩薩の真言(のうぼうあきゃしゃきゃらばやおんありきゃまりぼりそわか)を唱え修行されていた。

洞窟は東方に向かって開かれており、波の音が聞こえ、水平線から登って来る太陽や月や星々を眺めることができる。普通「明星」とは「金星」-地球の隣の惑星である。「金星」は地球の公転軌道との関係で「明けの明星(東方)」として見えたり「よいの明星(西方)」として見えたりする。その天文学的な周期はさておき、空海が見ていたのは、いつかの季節に見える「明けの明星」であったんだろう。

一般に「金星」は、年中厚い雲に覆われた灼熱地獄の惑星だと教えられている。しかし、NASA(アメリカ航空宇宙局)が観測・作成している金星の全球画像には、山や海があり、アフロディーティ大陸、イシュタール大陸、ラクシュミー高原、マックスウェル山(標高11,000m)などと名前も付けられている。空の色が違うようだが、ほとんど地球によく似た惑星のように見えてくる。

金星人と会見したコンタクティーによると、金星には戦争がなく、病も貧困も貨幣制度も無く、科学技術が発達し、フリーエネルギーを活用した高度な文明で、人々は愛情豊かで共に平和な暮らしを送っているという。隣の金星は、天人たちが住まう「極楽浄土」のようだ。

空海は「金星」を仰ぎ見て、金星人たちの暮らしを遠隔透視していた⁉。そして、天空から飛来した「光る宇宙船」と出会い、霊感を受けたのではないかとフト想っては見るが、室戸岬で空海が体験した「明星来影」の神秘は、宇宙の根源・大日如来と一体化し、光明(さとり)の境地に達したのだと言われている。

空海の足跡は、近くの行当岬や大山岬にもあり、室戸岬一帯は広大な「空と海」を体感できる絶景スポットになっている。


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